おすもうさん天国

新米スー女の相撲日記

豪栄道という力士~2018年初場所、四日目から六日目~

本日大相撲七日目を迎える。
白鵬稀勢の里、二人の横綱が休場という波乱の初場所。ひとり安定感のある相撲を取り続ける鶴竜の姿が一際輝いている。


しかし私は今回は別の力士に注目している。それは大関豪栄道だ。

 

豪栄道 (澤井豪太郎)
大阪府寝屋川市出身。境川部屋の力士。2014年の秋場所よりずっと大関の地位を守っている。

豪栄道は強い。それは大関という地位の在籍期間が物語っている。人気もある。身体はそこまで大きくないが、相手の廻しを取るとぐいぐい土俵際までもっていく力強さがある。

そんな豪栄道、実はちょっと精神面が弱いのだ。

去年の秋場所、三横綱が休場という中、角番の豪栄道は調子がよかった。以前全勝優勝を果たした時も角番だったらしく、窮地に立たされると燃えるタイプなのかもしれない。三横綱が休場、日馬富士は不調、さらに高安も照ノ富士の二人の大関も休場。当然豪栄道優勝の声が高まった。しかし序盤好調だった豪栄道、優勝への期待が高まった途端、黒星が続くようになっていったのである。しかし何とか白星を拾い続け、トップを守り続ける。
そして千秋楽、VS日馬富士。勝てば優勝、負ければ優勝決定戦という緊迫の一番、豪栄道はあっさり負けた。
さらに優勝決定戦、これまたあっさりら負けた。
やはり日馬富士という横綱な格が違うのか、または日馬富士横綱の意地を見せたのか……。それにしても呆気なく負ける姿には「おい!!! 豪栄道!!!」と言わずにないられなかった。

 

しかしそんな豪栄道、今場所は違った。テレビ越しでも気迫に満ちているのが分かる。立ち会いでの集中力が桁違いだ。初日から四連勝。誰もが豪栄道の姿に驚いた。解説陣も皆豪栄道の仕上がりを褒めた。

特に四日目の北勝富士戦。白鵬から金星をもぎ取った調子の良い北勝富士に、豪栄道は一歩も引かなかった。
二人とも立ち会いのスピードが下位と比べると桁違いだ。身体全体を使って相手に猛スピードでぶち当たっていく。差されたくない北勝富士豪栄道を必死に突き放す。しかし豪栄道怯まない。右をのぞかせるとそのまま北勝富士を土俵際まで押し込む。そして右で掬うように投げた。決まり手は寄り倒し。

私はテレビの前で痺れた。なんだこの圧力は。なんだこの気迫は。これが豪栄道という大関の本来の姿なのか!!!


私は今まで豪栄道のことを誤解していた。実力はあるのになんだか煮え切らない力士だと思っていた。しかし伊達に21場所大関の地位を守り抜いてはいない。これが本物の大関なのか。

やっぱり相撲は面白い。見るものの心を動かし、熱くさせ、魅了する。
相撲は個人技だ。力士達は日々自分の身体を磨く。彼らの武器は己の身体のみ。厳しい稽古、怪我、体調、プレッシャー。様々なものと戦いながら、彼は回しひとつで土俵に立つ。誰も頼ることはできない。それはどんなに孤独な戦いだろう。でも彼らは戦う。同じく心身ともに磨きあげられた相手と。そして自分自身と。そしてより多く勝利したものが、番付の上に名前を並べることができる。

 

初場所五日目、豪栄道VS栃ノ心。この二人の戦いもすごかった。ジョージア出身の力士栃ノ心も、豪栄道の引けを取らず今回は調子が良い。そんな栃ノ心に豪栄道は寄り切られてしまった。でも内容は素晴らしかった。お互い一歩もひかず、ひたすら攻め続けていた。やはり今場所の豪栄道はひと味違う。1敗がなんだ。今の豪栄道ならまだまだやれる!

六日目、嘉風相手に豪栄道はあっさり手をついた。

 

おい!!!豪栄道!!!

 

もう足が全然ついていけてなかった。完全に揃ってしまっていた。苦手な嘉風相手に変に力が入ってしまったのか、はたまた昨日の負けを引きずっているのか。とにかく昨日までの集中力が完全に切れてしまっているようにみえた。


でも私はそんな豪栄道を、がっかりはしても嫌いになったりはしない。だって人間らしくてかわいいんだもの。
苦手意識のある力士相手に戸惑うのも、1度のの黒星で調子が落ちるのも、まあ人間誰しもそうなっちゃうよね、と言わずにはいられない。なにしろ横綱白鵬稀勢の里ですら調子を崩すのだから。

 

私が豪栄道に注目しているのには、もうひとつ理由がある。去年発売された豪栄道の自伝を読んだからだ。

 

すもう道まっしぐら! (集英社みらい文庫)

すもう道まっしぐら! (集英社みらい文庫)

 


この本見たの通り、児童向けに書かれたものだ。漢字には全て読み仮名がふってあるし、文体も優しく大人ならスラスラっと読めてしまう。
豪栄道の子供時代から関取になるまでの物語。豪栄道という力士がどういう気持ちで相撲と向き合っているかがよく分かる1冊だ。なぜ彼が児童書レーベルから自伝を出したのかはよくわからない。しかしこの本には、相撲の楽しさ、そして人生辛いことがあってもグッと我慢をすれば強く生きていけるという豪栄道の美学が詰まっている。
おそろく子供がこの本を読めば、おすもうさんってかっこいいんだな、と思うのではないのだろうか。新弟子の確保が難しくなっている今、豪栄道なりに角界のことを考えて、児童書レーベルから自伝を出したのかもしれない。

去年初めて言った名古屋場所豪栄道の名前を必死に叫び応援する子供たちの姿が、今でも私の目に焼き付いている。

 

さてさて、今場所の豪栄道はどこまで頑張れるのだろうか。二連敗中といってもまだ前半。展開によっては優勝の可能性もない訳では無い。
しかし優勝うんぬんより、私は豪栄道に思いっきり相撲をとって欲しい。今回の豪栄道はひと味違うぞという姿をもっともっと見せて欲しい。
もちろん悪い引き癖があった時は、おい!!! 豪栄道!!! と叫ぶ。
喜んだり感動したり怒ったりしながら、彼が土俵を下りるまで、私は豪栄道を応援し続ける。

白鵬が負けた~2018年初場所、一日目から三日目~

白鵬が負けた!!!

 

2018年大相撲初場所三日目。横綱白鵬が平幕の北勝富士に敗れた。

もうびっくり。おったまげた。白鵬って負けるんや……という衝撃が未だに脳味噌を揺らしている。
私の相撲ファン歴は約半年とまだ本当に浅いのだけれど、それでも白鵬がいかに伝説的な横綱かというのは分かっているつもりだ。むしろ相撲ファン歴半年というド素人に絶対的な王者だと認識させる白鵬はすごい。
白鵬は強い。誰がなんと言おうと強い。まさかその白鵬が負けるとは……。

 

このところ問題になっている白鵬の立ち会い。かち上げや張り差しなど「横綱らしくない」立ち会いが多いと、協会から注意を受けたようだ。そのせいか今場所の白鵬は一切そういう立ち会いは行っていない。二日目の逸ノ城戦では、215kgもある逸ノ城の前回しを取り見事に転がした。
しかしやはり横綱といえども人間、立ち会いの前に少し迷うような素振りを見せることも。三日目の北勝富士戦もそうだった。一度目は立ち会い不成立。そして二度目、白鵬は負けた。

この立ち会いの関する問題が持ち上がってから、私の中でわだかまりというか、なんだかモヤモヤした気持ちがあった。
白鵬擁護派は「白鵬にだけかち上げや張り差しを禁止するように言うのはおかしい!」という。全くその通りだと思う。でも素人目で見ても気になってしまうのだ、白鵬の不自然な立ち会いが。今まではそれが白鵬横綱であるからだと私は考えていた。挑戦者をどっしりと受け止めるのが横綱の相撲であり、そういう相撲ではないから白鵬は非難されているのだと。
確かに横綱たるもの、変な小細工などしないでどっしりと構えた相撲で勝って欲しい。観客が白鵬という稀代の横綱にそれを求めるのもものすごく分かる。けれども勝って当たり前と思われる横綱に、それ以上を求めるのは酷なのではないだろうか?


相撲は国技というけれど、ひとつのスポーツという側面があるのも否定できない。スポーツは日々進化する。既存の技を越え記録を塗り替える。どんな競技も選手達の切磋琢磨によって変革を遂げてきた。日々過酷な練習で鍛えられてきた挑戦者を相手にする為に生み出した白鵬なりのスタイル。そう考えれば横綱らくないかち上げや張り差しも大した問題ではないのではないか。私はこの問題にこういった結論を自分なりに出した。けれどもどうしても違和感は拭えない。
なぜ白鵬のあの立ち会いがこんなにも観客の目に止まるのだろうか。なぜ大きな問題になってしまうのだろうか。

 

この答えを出してくれたのは、初場所三日目・境川親方の解説だった。

 

白鵬のかち上げは、かち上げではなく肘打ちである。それも張り手で顔を抑えて顎や顔に肘を当てる」

 

あ、なるほどな、と思った。私の中でモヤモヤとしていたものが、ストンと腑に落ちた。
問題になっている立ち会いは白鵬が勝つために編み出した独特のスタイルには違いない。けれどもそれは多用されるうちにいつしか「危険な技」へと変わっていってしまっていたのである。
推しの力士に思いのままに相撲をとって欲しい気持ちはよく分かる。でもやはり協会から指摘を受けたということはやっぱりそれなりに理由があるのだ。その理由とは、白鵬横綱だからでも、強すぎるからでも、ましてやモンゴル出身だからでもない。例え日本人力士が同じことをしたとしても批判されたであろう。
やはり親方は冷静だなと思った。境川親方は白鵬を「案外繊細だね」と評した。ちょっとキュンとしてしまった。絶対的王者にも人間らしいところがあるのだな、と。

もちろん白鵬の敗北が立ち会いに対する迷いが全てだとは思わない。相手の北勝富士の取り組みは見事だった。横綱に怯むことなく真っ向勝負。攻めの姿勢を崩さなかった。ただ敗因のひとつに白鵬の「案外繊細」な部分があったことは確かだろう。

 

白鵬が負けたと言ってもまだ一敗。長い場所中で誰が賜杯を手にするのか楽しみである。
個人的には調子の良さそうな鶴竜豪栄道に期待している。稀勢の里は……やっぱりメンタル面の脆さかな。二日目の白星で会場が湧いたのには思わず笑った。この力士はみんなに愛されているんだなと。少し甘やかされすぎにも思いなくはないが(笑)

 

今のとこのマイ・ベスト取り組みは、貴景勝VS玉鷲戦。ビンタの応酬は見応えがあって面白かった。てっきり顔を張られた貴景勝がムキになったとかと思ったが、境川親方が「激しさの中にも冷静さがある。腕の長さじゃかなわないけど、2度ほど張り玉鷲を怯ませ懐に入ろうとした」と解説していて感心した。新米スー女。まだまだ勉強が必要だ。しかし貴景勝の微妙に届いてない張り手は死ぬほどかわいかった。本当に癒し。

 

さあ2018年初場所賜杯を手にするのは一体誰なのだろうか。新米なりに楽しく勉強しつつ見守って行きたい。

阿武咲と貴景勝~2018年一月場所目前~

こんばんは、寒い日が続きますね。今週はますます気温が低くなるみたいで今から恐ろしいです。


さて週末にはついに始まる、

大相撲初場所

 

先場所から世間を騒がせていた話題は段々と収まりつつはあるが、根本的な解決は未だ成されていない。そんな中行われる初場所。力士の皆さんは雑音が多い中集中が削がれることもあると思うが、ぜひとも踏ん張ってほしい。

さてさてそんな荒れる予感の初所場所、注目の力士と言えば……やっぱり阿武咲貴景勝の21歳コンビだろうか。何しろ秋場所と九州場所では大活躍の二人。一気に注目度が高まった。

21歳! 若い! だって大学に進学していたらまだ三年生だ。それなのに厳しい角界のほんの一握りしかなれない小結とは……なんかもう感服って感じ。おすもうさんって割と年齢不詳というか、パッと見みんな同じに見えたりもするが(私だけ?)、この二人がテレビの画面にアップで映し出されると、やっぱり肌のハリが違う。玉のような肌が汗が光っていると、ああ……若い……と思わずにはいられない。

そんな有望株の阿武咲と貴景勝を簡単にご紹介。

阿武咲奎也(おうのしょうふみや)。
青森県出身、阿武松部屋。相撲は突きと押しを得意とする力士。
入幕から三場所連続で二桁勝ち越しにより、九州場所から小結に昇進。赤い回しがトレードマーク、だと私は勝手に思っている。しかし九州場所、赤い回しから一転、紺色の落ち着いた色の回しに。個人的にこれすごーくショックだった。私の中では阿武咲といえば赤い回し、赤い回しといえば阿武咲くらいに思っていたから、なぜ変えてしまったんだ! と思わずにはいられなかった。小結になったんだから大人な色に、とでも思ったのだろうか。ちょっぴし淋しい気持ちになったお姉さん。そんな阿武咲、新小結として力が入ってしまうのか、序盤は不調。すると……なんと回しを赤色に変えたのである!!! 私はテレビの前で叫んだ。やっぱこれだよコレ! 本人曰く「初心に帰って」とのことだったが、本当に帰ってきてくれてありがとう。やっぱり阿武咲には赤色が似合う。こんなド派手な色若い内しか似合わないんだから、これからもどんどん着よう!
あと私の阿武咲の好きな所は、勝って花道を引き揚げていく時、必ずお付きの力士と拳と拳を合わせる所だ。これ、本当にかわいい。阿武咲の年相応な所にキュンとしてしまう。この瞬間は毎回毎回見れるわけではない。負けたときはもちろん悔しそうに引き上げて行くし、上位陣との戦いの時は勝っても帰らずに土俵下に待機しているからだ。秋場所の時は結構見れたのに、九州場所ではこのウェーイの瞬間がめっきり減ってしまった。お姉さん悲しい。
赤い回しが似合ったり、ウェーイな瞬間があったり、歌がうまかったり、阿武咲は所々で、俺まだ若いんだよね的な要素を出してくる。そこがたまらなく好きだ。いや、もちろん阿武咲の相撲も好きだ! 勝ち気な押し相撲は見ていて実に気持ちが良い! でもそんな力強い相撲を取り、インタビューにも堅実な答えを返す阿武咲も、まだまだ21歳なんだと思うと、もう可愛くて仕方がない。

 

そしてもう一人の小結は、貴景勝光信(たかけいしょうみつのぶ)。
兵庫県出身、貴乃花部屋。得意手は突き、押し。
初場所からの新小結だ。そして今話題になっている貴乃花部屋の力士。昇進時の記者会見では、貴乃花親方は姿を見せなかった。貴景勝は記者会見中、一人で受け答えをしていた。もちろん親方が姿を現せば、話題は貴景勝の昇進ではなく、「例の事件」へと集中してしまうだろう。しかしまだ若い貴景勝を一人で記者会見に送り出すとは……不安な気持ちで会見を見守っていたが、貴景勝は落ち着いた様子を受け答えをしていた。さすがだと思った。21歳にして小結の地位を手に入れた男、並の精神力ではない。
しかしそんな貴景勝にもお茶目なところがある。なぜかは分からないがよく口をパクパクと動かしているのだ。その姿はまるで酸欠寸前のフナ。なんだもうコイツ可愛すぎやしないかと言わずにはいられない。

 

新小結21歳コンビ。相撲界にはありがちな話だが、実は子供の頃からのライバルである。小学生の頃から何度も対戦している。そんな二人が九州場所九日目、ついに当たる。貴景勝は六勝二敗と好調なのに対し、阿武咲は二勝六敗と少し低迷気味だった。しかし阿武咲、つい先日回しを赤色にして心機一転をはかったばかり。八日目は赤い回しで白星を掴み、このまま勢いに乗ろうと必死であった。気合い十分の二人に、大きな声援が飛ぶ。先に阿武咲が手を突く。貴景勝が手を突き、そして立ち合い。貴景勝の突きで阿武咲は身体を起こされる。しかし貴景勝が少し引いてしまう。阿武咲はそこを見逃さなかった。一気に貴景勝を叩く。しかし貴景勝中々手をつかない。ついてたまるかと言わんばかりにつかない。結果阿武咲が叩き込みで勝ち。しかし貴景勝の負けたくないという気持ちがひしひしと伝わる一番だった。やはり長年のライバル阿武咲が先に小結に昇格したというのは、思うところがあるのだろうか。しかし今場所からは晴れて貴景勝も新小結。この若手二人がこれからどんな伝説を作っていってくれるのかと思うと、今から楽しみだ。

 

もちろんお気楽に楽しんでばかりもいられない。この不穏の空気の中、力士達にとっては色々と苦しい戦いになるだろう。先日宇良の全休が決まった。怪我をした膝を手術してまだ間もないからだろう。宇良贔屓の私としては幕下に下がるのは悲しいが、それでもまだ宇良は若い! まだいくらでもやり直せる。今はしっかりと養生して、また彼らしい相撲が取れるようになることを祈っている。


むしろ不安なのは三横綱だ。白鵬はどうするのだろうか。横綱にこんなことを言うのは失礼なのだろうが、果たして無給の状態で全力が出せるものなのだろうか。サービス残業は死んでもしない主義の私にとっては信じられない話だ。さらに例の事件を受けて世間の風潮は、モンゴル人力士に対してやや排他的だ。彼の相撲スタイルについても「横綱の品格」がどうだとか言われている。確かに向かってくる相手に対してドンと構える横綱相撲はかっこいい。けれども横綱が張り差しやかち上げを使うことは、そんなに悪いことだろうか。だって彼らは負ければそこで終わりなのだから。もちろんどんな手を使っても勝てば良いとかとういうわけではないが……ううん、難しい。まあなにを言われようと、白鵬が強いということには変わりはない。


稀勢の里鶴竜には崖っぷちの一年となりそうだ。怪我で休場が続く鶴竜には、今年進退を決める一年とされている。新米スー女の私にとって、鶴竜がどんな横綱なのかまだつかめ切れていない。是非活躍する姿を見てみたい。
稀勢の里は……この間の九州場所が残念すぎて何ともいえない。怪我が完治していないだの、下半身の強化がたりないだの色々と言われているが、私は九州場所休場前、稀勢の里が負けた時のあの悔しそうな顔が忘れられない。横綱は心から悔しかったのだろう。負けたことがというより、思うように相撲が取れない自分を悔しいと思っているという気がした。本来精神的に強いとはいえない稀勢の里。それでも横綱という大きなものを背負い戦い続ける彼に、エールを送らずにはいられない。がんばれ! 稀勢の里
でもやっぱり、番付に日馬富士の名前が無いことに心が痛む。

 

先日式守伊之助の悲しいニュースが流れた。声のよく通る行司さんだったのに残念で仕方がない。しかしお酒の不始末は自己責任だ。酒は飲んでも飲まれるな。新年会やなんやらでお酒の席が増えるこの季節。重々注意したい。私も先日大学同窓会があった。相撲にハマっていると言ったら、「スー女って奴じゃん!」と言われた。新米スー女を名乗ってまだ日の浅い私。これからも色々と勉強していきたい。

突然ですが、相撲にハマりまして。

突然ですが相撲にハマりまして。

 

2017年、夏。名古屋体育館で行われた大相撲夏場所。私は生涯あの一日を忘れることはない、と思う。

私の文章力は未熟だし、相撲ファンとしてもミーハーの域を越えない素人だ。だけどこの熱の高まりと感動をどうしても記しておきたいと思い、筆をとった。駄筆だけど許して欲しい。

 

20代の、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる人間。私もそれに分類される人間だ。小学4年生か5年生になった頃、急に土曜日の半日授業がなくなり休みとなり、教科書に載っているある単元が飛ばされるようになった。円周率は3になり、複雑な計算に電卓を使うことを許されるようになった。大人の決めた方針に小学生だった私は、まあお気楽で、その時はラッキー! くらいに思っていた。
中学生になると皆携帯電話を持ち始め、大学生になるとスマホが流行。モバゲー、ミイクシィ、ツイッターなど、様々なSNSが登場し、テレビなど見なくても退屈をしのげるようになった。
こんな現代を生きている私にとって「相撲」とは、60代以上のおじいちゃんおばあちゃんが見るものであって、古代のスポーツ、化石のようなものだと思っていた。典型的な核家族の我が家では、座敷で祖父母が相撲を見ているなんてこともない。本当に一ミリも興味がなかったし、身近なものでもなかった。同級生に「相撲にハマった」と言うと、「はあ?」みたいな顔をされる。

元来私はスポーツというものに全く興味がなかった。幼い頃から筋金入りの運動音痴だったし(走るのが遅く、カナヅチで、逆上がりができない)、高校一年生の時、母校の野球部が県大会決勝戦まで駒を進め、校内にお祭りムードが漂っていた時も、決勝戦の日、早々に帰宅し家で昼寝をしていたくらいである(事の重大さを全く理解していなかった)。趣味と言えばマンガとゲーム、あと女性アイドル。スポーツ界という爽やかなイメージとはかけ離れた世界に生きていた私が相撲にハマるとは……そりゃ、友達皆びっくりするわな。

 

きっかけは職場のお姉さま方に誘われたことだった。50代の主婦の3人が「高安が〜」「稀勢の里が〜」と話す相撲の話題について、私は仕事をしながら聞き流していた。相撲観戦時の座席というのは色々と種類があるが、その中でも「枡席A」もしくは「枡席B」と呼ばれる席は4人一席。夏に名古屋で行われる名古屋場所に行きたい。しかしメンバーが一人足りないお姉さま方。

「ユキちゃんも一緒に行かない?」

この一言が、今は神の天啓のように思える。もちろんその時はこんなにも相撲にハマるとは思いもしなかったゆとり世代の私。

「相撲っスか……」

ちょっと引き気味で答えたあの日が懐かしい。

2017年の私は、色々あった苦難の大殺界を抜け、やる気と希望の満ちあふれていた。2017年は本当によく遊んだ。ミュージカルに行きまくり、旅行もし、色々な習い事もした。それ以降の私だったら絶対に相撲になんて行こうとは考えもしなかったと思う。
さらにお姉さま方の相撲の話がこれまた面白かった。色々な力士のエピソードをきいたり、白鵬熱狂ファンからの熱い言葉をきいたり。その内に私の心が動いた。一回くらい人生経験として行ってみてもいいかな、と。
行くと決めたら少しは相撲について学ばなければならない。場所が行われる度、速報でその日の勝敗をチェックするようになった。
推しは大砂嵐。エジプト出身という珍しさと、ツイッターで上げる写真のお茶目さが気になった。
次第にテレビで相撲が取り上げられると、目に留まるようになった。急成長中の宇良がと、ある番組でそのアクロバットな取り口を紹介されていた。感動した。私の中の相撲のイメージががらりと変わった。デブとデブがぶつかり合いひたすら押し出すのが相撲だと思っていた私は、宇良の身体のしなやかさ、技の豊富さに心打たれた。夏場所に行ってこれが見られるのかと思うと、楽しみでしかたなかった。

 

そして夏場所当日。ご存じの通り名古屋の夏は暑い。むし暑い。コンクリートから跳ね返る熱はじりじりと空気を熱し、熱風に包まれているような暑さを感じる。名古屋体育館は一応クーラーがあるが、テレビで見る限り皆団扇などで自分に風を送っている。タオルと団扇、そして足が痛くならないよう座布団を持参して、私は初相撲観戦へと望んだ。
桑名でお姉さま方と集合して近鉄線で名古屋へ。そこから地下鉄東山線に乗り、栄で名城線に乗り換え、そして市役所前駅へ。乗り換えは少しあるが名古屋からは本当に近い!
公園の前を歩きながら、お付きと思われるお相撲さんとすれ違う。風流な着物、かっこよい。良い匂いの正体は、びんつけ油だと教えてもらう。名古屋城の城跡が見えてくると、番付表とのぼりが。ついに来たんだとテンションが上がる。
体育館前は非日常的な空気を纏っている。好きなアーティストのライブに来た時と同じ感覚。名古屋場所という日常とは切り離された空間にいる興奮。今もあの瞬間をありありと思い浮かべることができる。
名古屋場所の入り口は、体育館を半周する必要がある。大きな俵の集まりに、これは一体なんなんだろう、でも相撲っぽいと馬鹿みたいなことを考えた記憶がある。チケットもぎりは親方。親方が「枡席ご案内!」と呼びかけると、中から女性の方が。席まで案内していただき、ちょっと良い気分(この案内は名古屋場所だけと聞いたけど本当だろうか?)。

ちなみにこの時の席は「枡席B」。相撲ブームが続く今、チケットを取ることすら難しくなっている。この席を確保するのも、それなりに苦労した。
名古屋場所初参戦の我々は、お茶屋さんという存在を知らず、チケットは楽々とれるものだと思っていた。ネットによる先着抽選の存在を知り、「枡席A」で応募。取れると思っていた。間近で力士たちの取り組みをみれると思っていた。取れなかった……。
お気楽に考えていた私たちは焦った。次に中日新聞で先行先着販売があることを知る。行動力に定評のある姉さんが新聞社に前日に申し込みに行ってくれた。狙う日は中日。7月三連休のどれかだ。希望は「枡席A」だが、最悪「枡席B」でもという形で頼んでくれた。第一希望が日曜日、第二希望が土曜日、第三希望が月曜日。取れたのは第三希望の月曜日、しかも「枡席B」だった。そのときは皆で「しょうがないね」なんて慰めあったけれども、今考えると祝日の枡席が取れただけでも奇跡だったというしか言いようがない(2017年夏場所は毎日当日券が完売になるほどだった)。


初めての枡席は正面側の中央というベストな位置だった。普段でテレビで見ているままなのである。そして思ったよりも土俵が近い! Bでも全然良い席やん! と皆ご満悦。
会場に到着したのが12時頃。まだ幕下の取り組みが行われている時だったので、とりあえず売店巡り。グッズはやはり人気力士のものが大半。大砂嵐グッズがあれば……と期待してたが無く、泣く泣く宇良のタオルだけ購入。ピンク色で可愛い。
売店前でタオル購入を悩んでいたとき、おばちゃんに「宇良はもう残りわずかやで」と言われて購入に踏み切ったのだが、よく見たら隣の売店にまだたくさん。おばちゃんやりよる。
グッズとお弁当、ビールを買って再び席へ。ちゃんこも食べてみたかったのだが、13時からの販売にも関わらず1時間前から並び始めている人が。かなり並ばなければ食べられなさそうだったので断念。次こそは。
そしてお弁当タイム。予約はせずに会場で売られている奴を購入したのだが、これがほんっっっとうに美味しい!

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 そこそこ値段はするがコンビニ弁当とは比べものにならない。下手な駅弁より断然美味しい。品数が多く、バランスも良い。野菜、肉、魚、全部美味しい。お米も美味しい。ネットでは名古屋場所の弁当はいまいちなどとかかれていたので全く期待してなかったのだが、あまりに美味しすぎて本当にびっくりした。昼間からビールという背徳感も相まって、ここは天国かな……? と思ったくらい。それくらい幸せな空間だった。

 十両の取り組みが始まる前だと、観客はまだまばらだ。空調も効いていて涼しい。十両の取り組みが始まってやっと5割埋まるくらいだろうか。しかしこの時間帯は幕内力士が会場入りをする時間帯でもある。お姉さま二人は白鵬みたさに外で出待ち。私はとりあえず試合をたくさん見たかったので、会場に残ることに。推しの大砂嵐が勝って大興奮。

 

この大砂嵐、今は十両でくすぶっているが実は元幕内力士。ガタイも良く、筋肉質。パワフルな相撲は見応えがある。しかもイケメン。それに前述したが本当に性格がお茶目なのである。千代丸と仲が良いのは有名で、二人がじゃれ合う姿は本当に癒し。大砂嵐が千代丸のことを「ミスター肉団子」と呼ぶことからも、二人の仲の良さが伺える。しかし勝負の時は真剣。
2016年夏場所三日目でのこの二人の取り組みが私は大好きだ。大砂嵐の諸手突きからの激しいつっぱり合い。そして組み合い。千代丸寄り切られると思いきや粘る粘る。千代丸は余り土俵際で粘る印象はないのだけれども、やはり大砂嵐には思うところがあるのだろうか……。両者一歩も譲らずという状況で、行司が急にストップをかける。先ほどの突っ張り合いで千代丸が顔を切ったのだ。血を拭って再開、そして大砂嵐の寄り切り。見事な取り組みに館内からは大きな拍手が。そして最後、大砂嵐と千代丸、この二人がっちりとした握手を交わすのだ。

まだ名古屋場所に参戦する前、私はこの二人の取り組みを見て、本当に本当に感動した。胸が熱くなった。血が出るまで身体ひとつでぶつかり合い、二人とも勝ちを譲らない熱い勝負。そして最後の握手。良き仲間でありライバルでもある大砂嵐と千代丸。心動かされないはずがない。
現在千代丸は前頭九枚目、大砂嵐は十両八枚目と差がひらきつつある。中々勝ち星を挙げられない大砂嵐に対し、千代丸は2017年名古屋場所から特徴的な丸く大きい腹を生かし順調に勝ち星をあげている。しかし私はこの二人の再戦を信じている。またあの名勝負のような熱い取り組みをみせてくれると信じている。実は私はこの二人と同学年。平成3年生まれまだまだやれる! という所を、この二人にはぜひ見せてもらいたい。

 

2017年秋場所から私はNHKの相撲中継を録画し、夜な夜な見るようになった。立ち会いの攻防、技のやりとりなどが少しずつだが分かってくるようになったが(まだまだ勉強中)、生でみた名古屋場所ではまだてんで素人の状態。次から次へと行われる試合を訳も分からず見ていた。
しかしあの一番だけは強烈に印象に残っている。宇良VS日馬富士戦だ。宇良が初めて金星をあげた一番。涙のインタビューはお茶の間のみなさんを感動させただろうが、その一番を私は生で見ることができたのだ。
宇良は平幕の力士に関わらず、アクロバットな技を繰り広げることで大人気の力士だ。その日も宇良の声援はものすごかった。私も買ったばかりのタオルをノリノリで掲げた。
実に宇良らしい一番だった。横綱日馬富士の鋭く刺さった腕を取りそのまま引き倒す。一瞬の試合だったが見事だった。紫色の座布団が何枚も飛んだ(本当は投げてはいけません)。これがかの有名な座布団投げかと思った(本当は投げてはいけません)。帰りの電車の中で宇良の涙のインタビューをみた。もうダメだった。やられたと思った。相撲がこんなに胸が熱くなるものだとは知らなかった。桑名に帰りお姉さま方と「反省会」と称した飲み会をしながら、私は言いようのない幸福感に包まれた。もっと相撲について色々と知りたいと思ったし、私はこれから死ぬまで相撲を見続けるんだろうなと思った。
これが私が相撲にハマった日。

 

それから私は相撲に関する本を読みあさった。場所中は中継を録画し、仕事から帰ったら睡眠時間を削ってまで毎晩見るようになった。
私は基本的に熱しやすくて冷めやすい性格だ。しかしハマるととことんないわゆるオタク気質。今まで色んな趣味を見つけてきたが、このハマって色々と調べている時期というのがやっぱり一番楽しい。日に日に相撲に関する知識が増えてゆく。お姉さま方に「吸収力がハンパない」と驚かれた。我、自主学習が推奨されたゆとり世代の人間。好きなものを勉強することは得意中の得意である。 

特に勉強になった本は「行こう!大相撲観戦」(ナツメ社)。

迫力、おいしさ、奥深さをイッキ読み 行こう! 大相撲観戦

迫力、おいしさ、奥深さをイッキ読み 行こう! 大相撲観戦

 

相撲の基本的な知識から技の説明、旬の関取がイラスト入りで本当にわかりやすく説明してある。地方場所や巡業も写真入りで解説されており、名古屋場所行く前に読みたかった〜! とお姉さま方を感心させたくらい。またイラストがかわいい! 職場にこっそり置いて、相撲の普及を謀っている。

 

そしてもう一冊、作家星野智幸さんの「のこった」(ころから)。

のこった もう、相撲ファンを引退しない

のこった もう、相撲ファンを引退しない

 

ガチ相撲ファンの星野さんの相撲エッセイ。ゆとり世代の私には小難しく、このおっさん文句ばっかだなという印象だったが、「日本ファースト」の風潮が広がる近頃の大相撲の危うさを切々と訴える内容は、今後の大相撲のあり方を考えさせられた。

 

年の瀬に世間を騒がせた「日馬富士暴行事件」。私は本当に悲しかった。なぜまだ戦える横綱が引退せなければならなかったのかと。
2017年秋場所、三横綱大関が休場という異例の事態の中、角番の豪栄道が絶好調。日馬富士は序盤から負けが続き、豪栄道の優勝を望む声が高まった。しかし途中から豪栄道は黒星が続く。優勝へのプレッシャーに耐えられなかったのだろうか。反対に日馬富士は順調に星を拾い、そして最終日、日馬富士が負ければ豪栄道優勝、勝てば優勝決定戦へという事態に。結果日馬富士豪栄道に土をつけたことで、見事優勝を飾るのだが、この時の日馬富士は本当に強かった。大関豪栄道相手に何の反撃も許さなかったのだ。
これが横綱かと、私はテレビの前で打ち震えた。圧倒的な強さ、プレッシャーさえはねのける強靱な精神力。数多の力士の頂点に立つ横綱。その偉大さをひしひしと感じさせられる優勝だった。
それなのに……2017年11月29日、日馬富士は引退した。貴ノ岩暴行事件の責任を取って辞めた形となった。怪我でも病気でもない。横綱はまだまだ戦えた。もう残念しか言いようがなかった。伊勢ヶ濱親方の悔し涙が本当に悲しかった。事件の真相は未だにはっきりとしていない。事件に関わった人達の処分がそれぞれ決まり、事態は収束しつつある。

しかしこの事件によって外国人力士を排他するような風潮が広まったことに、私は不安を覚える。星野さんの本には、大相撲協会は積極的に海外巡業を行い外国人力士を自分たちの意志で増やしてきたにも関わらず、近頃は「日本出身力士」を賞賛するような傾向にあると書かれている。のほほんと大相撲を観戦していたゆとり世代の私、全くそんなことには気づかなかったのだが、この事件を皮切りにはっきりとそういう風潮が目に止まるようになった。

何度も言うが私はゆとり世代の人間だ。小学校からお遊びのような英語の授業があったし、差別はいけないという教育の元で生きてきた。日本のグローバル化という言葉は身体に染み着いているし、もう留学は珍しいことではない。外国人の知り合いがいることがひとつのステータスだと思っている人もいる。個人的な意見だが、私たちの世代にしたら日本人ではないというだけで人を差別するような言動は時代遅れだし、正直かっこわるい。なのにマスコミはこぞってモンゴル人力士を批判し、白鵬横綱としてのあり方に意義を唱える。気持ちがわるい。
白鵬の国籍問題も本人が望むならモンゴル国籍のまま親方にしてやれよ! と思うし、正直ここまでマスコミが騒ぎ立てなければ日馬富士が引退することはなかったのではないかとも思う。もちろん暴力はいけない。貴乃花親方の相撲協会の改革を望む気持ちも分からない

ではない。けれどももう少しやり方があったのではないかと言わずにはいられない。尾車親方のような考え方が私は好きだ。

 

もうすぐ1月場所が始まる。短い四横綱時代が終わり、三横綱はこの場所をどう牽引していくのだろうか。不安はあるが、悲しいことばかりではない。
この度貴景勝が小結に昇格したことで、阿武咲と貴景勝の21歳コンビがそろって小結として番付を並べることになった。この二人若いのに妙に落ち着きがあって、世間ではふてぶてしいなどと言われている。インタビューなどでも本当にしっかり受け答えしているのだ。すごい。私21歳の時もっとちゃらんぽらんだったぞ……?
最近若手の活躍がめざましい。先場所では北勝富士が11勝4敗と好成績だったし、御獄海はもう少しで年間最多勝に手が届きそうだった。二人とも平成4年生まれ。宇良も同学年だ。三人が幕内で戦う姿をまた見ることを楽しみにしている。
もちろん若手だけじゃない。先場所では最年長安美錦が敢闘賞を穫った。大けがを乗り越え返り入幕。それだけでもすごいのに、序盤は年輩らしい巧みな相撲を取り、館内を盛り上げた。途中黒星が続き中々勝ち越しに手が届かなかったが、最終日無事八勝目をあげることができた。インタビュールームでは目に熱いものが。男泣きというものはこういうことを言うのかと、胸が熱くなった。

相撲にハマった2017年。社会人になってから一番充実した年であったような気がする。仕事より趣味に没頭する私の姿は、上の年代の人にとっては気にくわないかもしれないが許してほしい。所詮「ゆとり世代」なので(笑)

今年も色んな名勝負が見られるのかと思うと、今からわくわくしてたまらない。とにかく今は外野がうるさいので、心痛めるようなニュースが取り上げられるかもしれない。でも相撲の全てがそれだけだとは思わないし、思われたくもない。八百長はあるかもしれない、心無い暴力もあるかもしれない。それでも上を向いてがんばっている力士達がいる。そういう力士達の努力が台無しになるようなことだけは起きてほしくない。

大相撲観戦はまるでお祭りだ。非日常の世界は気持ちを高揚させ、気を大きくさせる。2017年九州場所安美錦に対し「辞めろじじい!」と言った心ない野次がテレビ越しでもはっきりと聞こえた。アナウンサーも咎めていた。モンゴル人力士が揶揄される風潮の中、ますますこういった心無い野次は増えるだろう。もうアホかと思う。そんな野次飛ばす奴は小学生以下だと思う。義務教育からやり直してほしい。ぜひ私たちを同じ教育を。

私の最近の推し力士は玉鷲だ。最初は荒鷲と区別も付かないくらいだったが、九州場所からあれ? この力士なんだか強いぞ? と思い注目するようになった。復興支援に積極的に参加しているのも好感だし、笑った顔がかわいい。趣味はお菓子づくりらしい。かわいい。

今年の角界は一体どんな年になるのだろうか。前年の騒動を教訓に少しずつでも良い方へ変化があればいいなと思う。そして私は純粋に観戦を楽しみたい。楽しみつつ、色々な問題が相撲界にあるということは忘れないでいよう。
良い一年になりますように!