おすもうさん天国

新米スー女の相撲日記

白鵬が負けた~2018年初場所、一日目から三日目~

白鵬が負けた!!!

 

2018年大相撲初場所三日目。横綱白鵬が平幕の北勝富士に敗れた。

もうびっくり。おったまげた。白鵬って負けるんや……という衝撃が未だに脳味噌を揺らしている。
私の相撲ファン歴は約半年とまだ本当に浅いのだけれど、それでも白鵬がいかに伝説的な横綱かというのは分かっているつもりだ。むしろ相撲ファン歴半年というド素人に絶対的な王者だと認識させる白鵬はすごい。
白鵬は強い。誰がなんと言おうと強い。まさかその白鵬が負けるとは……。

 

このところ問題になっている白鵬の立ち会い。かち上げや張り差しなど「横綱らしくない」立ち会いが多いと、協会から注意を受けたようだ。そのせいか今場所の白鵬は一切そういう立ち会いは行っていない。二日目の逸ノ城戦では、215kgもある逸ノ城の前回しを取り見事に転がした。
しかしやはり横綱といえども人間、立ち会いの前に少し迷うような素振りを見せることも。三日目の北勝富士戦もそうだった。一度目は立ち会い不成立。そして二度目、白鵬は負けた。

この立ち会いの関する問題が持ち上がってから、私の中でわだかまりというか、なんだかモヤモヤした気持ちがあった。
白鵬擁護派は「白鵬にだけかち上げや張り差しを禁止するように言うのはおかしい!」という。全くその通りだと思う。でも素人目で見ても気になってしまうのだ、白鵬の不自然な立ち会いが。今まではそれが白鵬横綱であるからだと私は考えていた。挑戦者をどっしりと受け止めるのが横綱の相撲であり、そういう相撲ではないから白鵬は非難されているのだと。
確かに横綱たるもの、変な小細工などしないでどっしりと構えた相撲で勝って欲しい。観客が白鵬という稀代の横綱にそれを求めるのもものすごく分かる。けれども勝って当たり前と思われる横綱に、それ以上を求めるのは酷なのではないだろうか?


相撲は国技というけれど、ひとつのスポーツという側面があるのも否定できない。スポーツは日々進化する。既存の技を越え記録を塗り替える。どんな競技も選手達の切磋琢磨によって変革を遂げてきた。日々過酷な練習で鍛えられてきた挑戦者を相手にする為に生み出した白鵬なりのスタイル。そう考えれば横綱らくないかち上げや張り差しも大した問題ではないのではないか。私はこの問題にこういった結論を自分なりに出した。けれどもどうしても違和感は拭えない。
なぜ白鵬のあの立ち会いがこんなにも観客の目に止まるのだろうか。なぜ大きな問題になってしまうのだろうか。

 

この答えを出してくれたのは、初場所三日目・境川親方の解説だった。

 

白鵬のかち上げは、かち上げではなく肘打ちである。それも張り手で顔を抑えて顎や顔に肘を当てる」

 

あ、なるほどな、と思った。私の中でモヤモヤとしていたものが、ストンと腑に落ちた。
問題になっている立ち会いは白鵬が勝つために編み出した独特のスタイルには違いない。けれどもそれは多用されるうちにいつしか「危険な技」へと変わっていってしまっていたのである。
推しの力士に思いのままに相撲をとって欲しい気持ちはよく分かる。でもやはり協会から指摘を受けたということはやっぱりそれなりに理由があるのだ。その理由とは、白鵬横綱だからでも、強すぎるからでも、ましてやモンゴル出身だからでもない。例え日本人力士が同じことをしたとしても批判されたであろう。
やはり親方は冷静だなと思った。境川親方は白鵬を「案外繊細だね」と評した。ちょっとキュンとしてしまった。絶対的王者にも人間らしいところがあるのだな、と。

もちろん白鵬の敗北が立ち会いに対する迷いが全てだとは思わない。相手の北勝富士の取り組みは見事だった。横綱に怯むことなく真っ向勝負。攻めの姿勢を崩さなかった。ただ敗因のひとつに白鵬の「案外繊細」な部分があったことは確かだろう。

 

白鵬が負けたと言ってもまだ一敗。長い場所中で誰が賜杯を手にするのか楽しみである。
個人的には調子の良さそうな鶴竜豪栄道に期待している。稀勢の里は……やっぱりメンタル面の脆さかな。二日目の白星で会場が湧いたのには思わず笑った。この力士はみんなに愛されているんだなと。少し甘やかされすぎにも思いなくはないが(笑)

 

今のとこのマイ・ベスト取り組みは、貴景勝VS玉鷲戦。ビンタの応酬は見応えがあって面白かった。てっきり顔を張られた貴景勝がムキになったとかと思ったが、境川親方が「激しさの中にも冷静さがある。腕の長さじゃかなわないけど、2度ほど張り玉鷲を怯ませ懐に入ろうとした」と解説していて感心した。新米スー女。まだまだ勉強が必要だ。しかし貴景勝の微妙に届いてない張り手は死ぬほどかわいかった。本当に癒し。

 

さあ2018年初場所賜杯を手にするのは一体誰なのだろうか。新米なりに楽しく勉強しつつ見守って行きたい。